母親という絶対権力からの解放

わたしの母ってたぶんスカウター通したら爆発するんじゃないかってくらい
最強感がある
体も大きいし、態度も大きいし、声も大きいし
会った誰をも魅了するのよね、かっこいいってさ
そんな母親の呪縛に勝手に30年間囚われていたんだけど
ようやく卒業できそうなの、結婚するからね
 
わたしって変わり者でね
昔っからどこか斜に構えてるタイプだったと思う
いまで言えばオタクタイプなのかな、母とは全然違うわけ
母はどちらかというとみんなのリーダータイプ
わたしはみんなと意見が合わなくて
なりたくもない一匹狼に勝手になっちゃうけどさびしがり屋タイプ
わたしの考えってなんか賛同されないのよね、だからいつも一人
一方、最強の婦人わたしの母はみんなから賛同されるタイプ
 
社会って賛成多数が勝つでしょ?
どうあがいても1億対3くらいなわけ。
燃え盛る炎の中で踊るしかなかった織田信長みたいにね
もうなんにもできないからね、踊るしかなかったよね
いつも母が正しくて、いつもわたしは間違ってる
そんな気分にいつも浸らされてたし浸ってたわけよね
 
幼いころの記憶なんてほとんど残ってないけど
(7歳の七五三で銀杏踏んだのは覚えてる)
良く考えたらさ、母親って最強じゃない?
だって育児を放棄すれば子供は生きられないじゃない
いや、今だったら施設とかあるから厳密には生きることはできるけどさ
母親と子供の間には生と死っていう完全に母親有利な状況があるわけじゃない
だから子供は知らず知らずのうちに母親の顔色をうかがっていると思うの
本能的にね
 
なのに、当の本人たち(母親も子供も)はそのことに気づいてない
いや、母親は分かってるのに見えないふりしてるところがあるかも
「放棄したらあんた生きられないよ。だから言うこと聞きなさい。」
なんて、口がさけても言えないもんね、人道的にね
それを子供を尊重してるって言い換えてる気もするのよね
 
放棄したくても放棄できるわけがないのよ
そんなことしたら人間の良心的な部分が痛むだろうし
世間体的に自分の立場がやばいでしょ?
犯罪だもん、児童虐待防止法違反
自分のお腹を痛めて産んだ子だったらなおさらできないのが普通よね
本当に可愛いのかもしれないし
分からない
こんなに苦労して産んだんだからって一種の元とれ的な心理が働くかもしれない
分からない
自分の存在を誰よりも欲してくれてる存在だし
そういう意味で失くしたくないって人もいるかもね
それでも放棄する人が多くなってるって世の中おかしいけど
 
わたし、もうすぐ結婚するじゃない?
結婚したらそのうち良いタイミングでやっぱり子供が欲しいなって思ってるの
図らずも本当にわたしにとって良い旦那さんと結婚できちゃったもんだから
その旦那さんとなら子供を一緒に育てたいなって思ってて
もう30だからそんなに時間に余裕があるわけではないけど
やっぱりまだ自信がないのよね、踏み切れない
なにより自分に自信がない
 
若いお母さんを見ていて思うのは子供の所有物化
自分の存在を誰よりも欲してくれてる存在ができた安心感とか
この世に自分の居場所ができたかのような安心感みたいなものを感じる
いつもそれを見ていて怖いなって思うの、ものすごい恐怖
自分もそうなる気がしてね
みんな子供にすっごく依存してるじゃない?
でも、そう思いたくない母親が多いみたいね
 
子供ってイコール未来でしょ?
その未来を良くするためにもやっぱり上手に育てなきゃと思うじゃない
あとはね、単純に幸せにしてあげたいよね
自分がものすごく母親の顔色をうかがってきて
自分の道を見失って迷走しまくってたから
そう育ってほしくないなっていう思いもある
わたしみたいになって欲しくないのよね
わたしみたいなのはずっと悩む人生を送るタイプだからね
 
だから、いまのわたしじゃ到底そんなふうに育てられる自信がない
あるはずもない
ブレにブレてるから絶対ブレるもの
もう少し鍛錬しなきゃと思ってる
だからいままでやったことがないことに挑戦してる
メディアを見ないとか勉強とか読書とか瞑想とかね
どれもこれも未来の子供のため
子供はわたしの背中を見て育つもの
可哀想な人生にはしたくない
 
わたしの母はとてもできた人よ
でも、ものすごく自分のモノサシが強い人
この言い方も母の受け売りだけど
母は他人からの信頼がとっても厚い人
でも、実の子供にとってはちょっと違ったのかもしれない
 
母は気づいてないかもしれないけど
自分の子供よりも他人に力を尽くすタイプなのよね
それは良いことなんだからあなたたちも付き合いなさい
あなたたちもわたしのようになりなさいって
そんなこと言われたことはないんだけど
むしろ絶対に言わないんだろうけど
でも、そういう無言の圧力があったのよね
それがいい人間だっていうね
 
でもね、母は難病にかかったの
完治って言われるまで5年以上かかったみたい
本当に人のためにって思えてる人なら体壊さないと思うのよね
いや、分からないけど
いつも無理してるように見えるのよ
 
あと、母の審査基準は母目線ではなくて、社会目線なのよね
例えばテストで下から3番目だったのが頑張って5番目になったって報告しても
平均より全然低いから話にならないって言われる感じかな
ここはやっぱりたった2つ順位が上がっただけかもしれないけど
上がったことや努力したことを褒めてあげるべきだと私は思うの
そうじゃないと子供はいつまでたっても自信が持てないじゃない
自分に自信がないってのは生きてく上でかなり大きな障害になる
 
母のことは大好きだし、尊敬してるところもある
けど、絶対になりたくない
昭和に育ったから褒める習慣がないとか愛情表現が下手くそなんて
そんなの言い訳に過ぎないのよね
昭和でもそれをうまくできてた人たちもいただろうし
今は平成だもの、時代が変わったんだから自分も変わればいい
変わりたくないのは多数派から少数派になる恐怖からでしょう?
いや、恥ずかしいってのもあるよねきっと
変わってみたら案外良くて人気者にだってなれるかもしれないのに
自分ができないことを環境のせいにしているのはダメね
自分は自分で変えられるもの、いつでも
変わる努力をしないってのはどこかそれでいいやと思ってるってことなのかもね
 
小さい頃って他のルールなんて知らないから
母親が子供のルールの教本になる(あー怖い)
だからわたしも渡された教本どおり母みたいな考え方をしてた
これが昭和も昭和、ド昭和な教本でね
BOOKOFFで100円のコーナーにあるかないかくらい
おかげで学生時代うまくいかないことだらけ
いじめにあったりしてたから学校が大嫌いだった
教本が時代と合ってなかったのよね
それだけじゃあないけど
 
どうしてわたしの常識は当てはまらないのって
うちではそれが正しいことなのにここでは違うの?って
あれ?って感じだったけど
でも、それがわたしなんだって深く考えずに
自分で自分のことを枠にはめて決めてきちゃったの
だから、現代に生きるわたしと教本どおりのわたしの間に葛藤が起こっても
そういうもんなんだって知ったふりして知らないふりしてた
社会人になってうまく生きられなくて
これはなにかやっぱりおかしいってようやく思うようになって
自分で自分を研究しだしたのよね
そこからわたしの中の常識の根源になっているものを発見したの
それが母の教本だったってわけ
 
もちろん母親だってパーフェクトなんかじゃないんだから
間違ってて当たり前なのよ?
でも、間違ってるなんて言えないじゃない母親に対して
そんな社会的に悪い子にはなりたくなかったのよね
しかも、言ったらものすごく怒るか落ち込むかして
また無意識にマインドコントロールされちゃう
親が一生わたしを面倒見てくれるならまだしも
いつかわたしも結婚して子育てするだろうって考えたら
このままじゃマズイだろってなって
そう思って世界一周の旅に出たのよね
 
おかげで母親だって間違ってることもある
母親の常識が世界の常識なわけじゃないってきちんと実感することができた
そして、母親を間違っていると思うことは悪いことではないってこともわかったの
ようやくはじめて母親と向き合う強さができたのよね
お母さんそれは違うよってお母さんも間違えていいんだよって
30歳でようやく本当の自分の主張を言えるようになった
たかだか30歳の小娘に言われたくないって思ってるだろうけど
母からしたらいままでと違うから
寂しいとは思うんだけどね
 
産んでくれた母親なんだから落ち込ませるようなことはしないで
うまくやっていけばいいじゃないって思う人もいると思う
そう思う人はそうすればいいと思う、ご自由に
でもね、わたしだって悲しくないわけじゃないのよ
まるで友達のようにしてきてたのにギクシャクしちゃってるから
けっこうツライのよ、可哀想だなって思うの
親を悲しませることほどなんとも言えない辛さはない
 
でも、未来の子供のためにここは鬼になろうって決めた
やっぱり違うことは違うし、自分に嘘ついてるとろくなことないからね
いつも違うっていってるのに祖母の前ではそうだって言ってる母親ってどう思う?
普通に話してたのにいなくなったらいきなりその人の悪口を言う友達ってどう思う?
そんな姿、わたしはあまりよくないと思うの
でもこれをしてないと生きていけないのも事実、日本の処世術
だからね、いま、両親を改革中
少しでもわたしの考えを分かってもらって
切りづらい縁だろうからね、少しでも楽になってもらうために
何様だよって言われるかもしれないけど
 
まわりの評価を気にする人って
たとえそうだと思ってももろ手を挙げて賛成できないじゃない?
子供に教えられるなんてプライドが許さないじゃない?
その気持ちは痛いほど分かるのよ、だから
うまくうまくまるで最初からそう思ってたんだよねって感じで誘導してる
こんなことバレたらこちとら60年も生きてんだって両親に縁切られそうだけど
 
よくよく考えるとわたしの母はけっこう孤独なのかもしれない
父は昔遊び人で、バブルのおかげで仕事できてただけのダメ男で
妻と子供がいるにも関わらず一度別の女のところにいこうとした男だから
(それを知ってからことあるたびに積立男と呼んでいる)
バブルがはじけてからは母に頼ってばかり
母は自分が選んだ人だからとか、子供の父親だからとか
どこか憎めない人だからとかいろんないろんな理由で父といるんだろうけど
結局はなんだかんだ言って楽なんじゃないかな
お互いに依存してるのよね
 
そんなんだから父のことも頼れないだろうし
心の底から信頼してるかっていうとちょっと違う気がする
女って一回裏切られると心の中に絶対埋められない渓谷を形成するからね
そりゃもうグランドキャニオンばりの渓谷をね、一生ふさがらない
祖母(母の母)が痴ほう症になったとき、実家に戻って世話してたけど
自分の姉妹とあんまりうまくいかなくて
結局、あそこに自分の居場所はないって思ったみたい
人生の半分以上そこから離れてて別々に暮らしてれば当たり前だとは思うんだけどね
 
頼れる友達はいるけど、頼れる家族はいないのかも
やっぱり友達は所詮友達だから
家族の中に頼れる人がいたほうが心は落ち着くんじゃないかと思う
母はもっと家族の絆を考えるべきだったんじゃないかな
そして、もっと家族を信じて頼るべきだった
でもこれは母だけの問題じゃない
家族一丸となってかからないといけない問題だったんだと思う
日本中そうなんじゃないかなとも思う
日本以外は知らん
いまさら無理かもしれないけどね
 
だからといって母との縁は切れないよ、絶対にね
母は何が起こったってわたしの母であることにかわりないもの
母の人望の厚さは本当に尊敬しているの
だって、わたしには絶対にできないことだもの
だから、ギクシャクしていても最後には母にこう言うの
母はわたしの母であることにかわりはないって
昭和の美は言わずもがなだけど
わたしは言わなきゃ分からないこともあるって思うから
 
わたしなりに母とはうまく付き合っていくつもり
母のことを好きなのもあるし
将来子供が生まれたら、預けたいとも思ってる
わたしにはない母の良いところを
子供にも吸収してほしいって思うから